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医局員コラム |
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スウェーデンのマルメで開催された、HOME IV meetingに、室田先生、山賀先生と参加してきました。HOME meetimgとは、アトピー診療のスタンダードを決めるもので、世界中から患者を含め様々な職種の人が集い、議論し、投票が行われます。ここで決まったことは、論文になり、世界中に発信されます。今回は4回目の開催となり、Symptoms、Quality of Life、Long term control (LTC)について活発な討論が行われました。中でも、SignとSymptomの違いについて、半日以上かけて質疑応答が行われたことには、驚きを隠せませんでした。医師として普段何気なく使い分けている事でも、世界の統一された基準を作るには、誰にでもわかりやすいように説明しなければならないことの必要性を感じました。このような調子で、なかなか予定通りに会が進行しませんでした。投票によって、アトピーのSymptomで最も重要なものはitchy、評価基準はPOEMということが決まりました。今回決められなかったものは次回に持ち越しになります。次回は2年後にブラジルで開催されるそうです。 国際的な会議に初めて参加して痛感したことは、英語のリスニングとスピーキング能力がないと得られるものが極端に少なくなってしまうこと、海外の人々は積極性があり自分から進んで話すことに長けているということです。HOMEではグループに分かれて議論する時間があり、他のメンバーが訛りながらも怒涛のように英語を話していく中、私はついていくのが難しくポカンとせざるをえませんでした。とても残念でした。物怖じしない性格と、英会話能力を身につけておかなければならないと思いました。(実現には困難を極めますが・・・) それから、ポーランドのヴロツワフに立ち寄り、国際痒みシンポジウムのメンバーである、Wroclaw Medical UniversityのJacek教授のもとを訪れました。今年は阪大主催で奈良で開催されるので、その打ち合わせも兼ねての訪問です。 ![]() 今回の出張はとても実りが多いものになりました。これからは、痒みが重要なキーワードであり、痒みの研究の発展が望まれます。また、日本と海外の皮膚科事情の違いも感じることができました。日本では自分が望む診療科に従事することができ、内科に従事する医師が最も多いですが、ポーランドを含め多くの国では科ごとに定員があり、なおかつ、どういうわけか、皮膚科が一番人気であることも珍しくないため、希望通りにいかない状況が発生しているそうです。皮膚科は、救命に直結するような場面は少ないものの、専門性が高く、心理学的な側面も絡んでおり、多くの患者から必要とされています。今後は、海外との知識の交流も念頭に置きながら、良い皮膚科医になれるよう、臨床、研究に携わっていきたいと思いました。 |
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平成27(2015)年5月2日掲載 |