病理組織標本のダイレクトスキャン法
 ーフィルムスキャナーを利用した低倍率画像ー

西田健樹、土居敏明(大阪大学医学部皮膚科学教室)
日本皮膚科学会雑誌 第107巻13号 第1805-1807頁(平成9年12月)掲載
Reprinted from the japanese jurnal of Dermatology
Vol.110,No.12,pp.1805-1807,December 1997
(C) Copyright 1996,Kenju Nishida

病理組織標本のダイレクトスキャン法

土居敏明、西田健樹、吉川邦彦(大阪大)
この方法は第96回日本皮膚科学会総会(岡山)コンピュータクラブにて発表した
(C) Copyright 1996,Kenju Nishida

はじめに


病巣の全体像など低倍率で撮影する場合、組織標本が大きいと普通の顕微鏡では撮影が難しくきれいに撮影するにはそれなりの設備が必要になります。ここでは研究室にあるフィルムスキャナー(Nicon Coolscan)(32KB-JPEG)を使い簡単な方法で低倍率の美しい写真を作成する方法を紹介します。取り込み例として皮膚の組織(65KB-JPEG))とラットの胎児(106KB-JPEG))を掲載しています。


作成方法


フィルムスキャナーで読み込む方法としては、「病理組織プレパラート」を直接フィルムスキャナーでスキャンする方法と、プレパラートを挿入できないタイプのフィルムスキャナーの場合の「写真スライド用マウント」を使う2つの方法があります。前者は簡単に低倍率組織画像を取り込むことが出来てとても便利なのですが、フィルムスキャナーの種類によっては病理組織スライドを直接入れることが出来ないものがあり、そのような場合には面倒ですがいったん写真スライド用ガラスマウント(gepe社)に組織標本を張り付けて取り込む事になります。後者の方法はガラスマウントに切片を張り付け染色し、フィルムスキャナーでスキャンしますが、その方法で作られたスライドはプロジェクターで投影すればすばらしい解像度のプレゼンテーションになり、レンズの性能によっては細胞の分類も可能な程の分解能を得ることが出来ます。また、そのスライドを顕微鏡に乗せればいつでも病理組織標本として観察が可能です。



1 病理組織スライド標本の場合

  • ○病理組織スライド標本をストリップフィルムホルダに粘着テープで留める。



    ○フィルムスキャナーに挿入しマニュアルでフォーカスを合わせます。この場合(Nicon Coolscanを使用)組織標本は裏向きに固定しないとフォーカスが合わないので注意が必要です。



    ○スキャン開始



2 写真スライド用マウントの場合(ストリップフィルムホルダが使えない場合)

  • 写真スライド用マウントはgepe(Made in Sweden)社の24*36又は40*40のマウントを使いガラスとガラスの間にフィルムを挟み込む仕掛けになっています。



    ○マウントガラスの片方を注意深くドライバーの先などでプラスチックフレームから外しきれいに洗滌



    ○パラフィン切片等を載せ通常の方法で染色を施行する。



    ○カバーガラスで封入しますが、封入剤を多く入れると横からはみ出して汚くなるので注意



    ○完全に乾燥後プラスチックフレームにガラスを戻し完成です。このままプロジェクタで投影すれば最高の解像度のスライドが出来ます。但しバックが完全にヌケるので暗い部屋ではバックが明るすぎるのが欠点です。



    ○通常の写真スライドと同じ様にフィルムスキャナーでスキャン開始しますが、フィルムの場合と厚さなどが違うのでオートフォーカス以外の機種ではフォーカスをマニュアルで合わせてください。



    病理組織標本のダイレクトスキャン法で読み込まれた画像です。





この「病理組織標本のダイレクトスキャン法」について「他にこんな方法もある」、「ここを改良したほうが...」等ありましたら是非教えて下さい。(制作/著作:西田健樹1996.5.2)

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